社会的影響を踏まえた新警報基準に基づく”宇宙天気イベント通報(SAFIRセイファー)”を開始するとともに、”宇宙天気情報利用ガイドライン”及び”宇宙天気情報利用の手引き”を作成、公表しました。これらは、通信・放送、宇宙システム運用、航空機運航等、それぞれの事業分野において、社会的に大きな影響を与える規模の宇宙天気現象を迅速に把握し、その現象に対してどのように対処したらよいかの指針を示したものです。

これらの情報を利用することで、各分野の社会インフラ運用者が今まで以上に大規模な宇宙天気現象を正しく理解し、より安心安全な対応策を取ることができるようになると期待されます。

【背景・経緯】

太陽表面の爆発現象「太陽フレア」などにより、地球周辺の宇宙環境が乱れると、その規模により、通信・放送、宇宙システム運用、航空機運航、衛星測位、電力等の重要インフラに影響を与えることがあります。こうした宇宙環境の変動は「宇宙天気」と呼ばれ、その影響を最小限に抑えることを目的として、NICTは1988年から宇宙天気予報を実施し、ウェブサイトやメール等で宇宙天気の概況や24時間の予報、太陽フレアなど宇宙天気現象の発生(宇宙天気イベント)について情報配信をしています。

しかしながら、宇宙天気現象の影響が社会インフラごとに異なること、予報情報が具体的な影響に直結しておらず影響の定量的評価が難しいこと、宇宙天気予報の成熟度が気象予報と比較すると観測点の圧倒的不足等から発展途上であることなどから、提供される宇宙天気情報と社会的影響の紐づけが不明瞭であり、またその情報の利用に関するガイドラインも整備されていませんでした。これらの問題点については、2022年に総務省主催の「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」でも議論され、警報に関する体制強化として社会インフラのリスク(被害)を考慮した新たな警報基準、NICTによる確実な警報伝達の必要性や、社会インフラへの影響と効果的な対処として企業向けの標準的ガイドラインなど共通的対策の導入等について提言されています(関連報道資料参照)。本検討会の報告書も踏まえ、NICTでは新警報基準に基づく宇宙天気イベント通報の実装や、通報される宇宙天気情報を利用して対処するためのガイドラインの策定を進めていました。

【公表資料等】

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  • 新宇宙天気イベント通報 (SAFIRセイファー: Space weather Alert For social Impacts and Risks)
    • 登録方法は こちら をご参照ください。
    • 概要及び通報されるメール文例については”宇宙天気情報利用ガイドライン”をご参照ください。
  • 宇宙天気情報利用ガイドライン
    • 防災・減災のための具体的なアクションのための宇宙天気情報利用ガイドラインとして、通信放送・衛星運用・航空運航・電力などの各業界における異なる影響と対策についてまとめたものです。
  • 宇宙天気情報利用の手引き
    • 宇宙天気情報ユーザーのための入門書として、宇宙天気情報を初めてみる方向けに、宇宙天気情報とは何か、社会影響の例などを紹介したものです。

【関連報道資料】