電離圏領域
国内イオノゾンデ定常観測
右は国内4か所の電離圏観測装置(イオノゾンデ)*1による最新データを示し、左はスポラディックE層(Es層)*2の発生状況を示します。
イオノゾンデは、地上から上空に向けて周波数を変えながら電波を送信し、電離圏で反射された電波(エコー)を受信します。 得られた観測データはイオノグラムと呼ばれ、説明図(右)のように横軸が周波数、縦軸が電波の反射点の高度、色がエコーの受信強度を示します。 各高度で電離圏エコーの最大周波数は「臨界周波数」と呼ばれ、HF帯~VHF帯の電波伝搬に関係する指標となります。 臨界周波数はその高度の電子密度が大きいほど高くなります。
「Es層発生状況」の図では、高度100km付近に高い臨界周波数を持つ層が出現した時にマークしています。
- *1 イオノゾンデについての参考情報(動画解説、観測データサイト)
- *2 スポラディックE層:高度100km付近に不規則に現れる薄い電子密度の層。VHF帯電波の異常伝搬を引き起こすことがあります。(動画解説、解説)
foF2 (国分寺)・TEC (37°N)・K指数(柿岡)
上段のグラフは、国分寺(東京)のイオノゾンデ*1で観測されたF2領域*2臨界周波数(foF2)*3の時間変化を示しています。 foF2はF2領域の電子密度と連動して増減します。 中段のグラフは、国土地理院GPS受信機網(GEONET)データを用いて算出した、中緯度帯(北緯37度付近)の電離圏全電子数(Total Electron Content:TEC)*4の時間変化です。 電離圏の電子密度・TECは、昼間に大きく、夜間に小さくなります。 さらに、場所・季節・太陽活動によっても変化し、磁気嵐に伴う顕著な乱れ(電離圏嵐)も起こります。 NICTでは「電離圏嵐指標(I-scale)」を用いて電離圏嵐の発生を判定しています。 この指標は、過去27日間の中央値(図中の黒線)に比べて、観測値(図中の赤点・赤線)がどれだけずれているかを統計的な尺度(図中のグレーコンター)で示します。 電子密度が増加する嵐(正相嵐)をIP1~IP3、電子密度が減少する嵐(負相嵐)をIN1~IN3で表します(数字が大きいほど規模が大きい)。
下段のグラフは柿岡(茨城県)の気象庁地磁気観測所で計測されたK指数を示しており、これらのグラフから地磁気の乱れと電離圏の変化との関連性を確認できます。
下の図に示す2024年5月の大規模フレアイベントの例では、磁気圏の変動に応じて、正相・負相の両方の電離圏嵐が観測されました。
- *1 イオノゾンデの参考情報(動画解説、観測データサイト)
- *2 F2領域:電離圏の高度分布の中で約250km以上に位置し電子密度が最も大きい領域。
- *3 F2領域臨界周波数:地上から真上に電波を送信した際にF2領域で反射される電波の最大周波数。これより高い周波数の電波は電離圏を突き抜ける。
- *4 電離圏全電子数:ある地点の上空の電離圏に含まれる電子の総数を単位面積あたりで表した量(単位:TECU、1 TECU = 1016 electrons/m2)。TECはGPS信号の遅延に影響するため測位の分野で重要な指標です。(動画解説、観測データサイト)