太陽は、主に水素とヘリウムで構成された星で、いくつもの層構造をしています。 光球は、人間の目で見たときに見える(白色光で見える)部分で、太陽表面にあたります。 光球に見える黒いしみのような点は黒点と呼ばれ、周囲に比べて磁場が強く温度が低い場所です。 太陽内部(光球の内側)は中心部分から核、放射層、対流層と呼ばれており、 中心の核で核融合反応を起こし光と熱を発しています。 一方、太陽外層(光球の外側)には彩層、遷移層、コロナがあります。
彩層はHαという水素の輝線で紅く観測される層です。 彩層にはフィラメントと呼ばれる(陰のような)暗い筋状の構造が見られます。 これは太陽の自転とともに太陽の縁に移動すると、宇宙を背景に明るいループ構造として観測され、 プロミネンス(紅炎)とも呼ばれます。このフィラメントもしくはプロミネンスは、 時折、自発的もしくは太陽フレアに伴って噴出することがあり、フィラメント噴出やプロミネンス噴出と呼ばれています。 さらに宇宙空間まで飛び出すとコロナ質量放出と呼ばれます。
太陽は、可視光以外にも電波、赤外線、紫外線、X線、ガンマ線など様々な光(電磁波)を放射しています。 そして、さまざまな色(波長)の光で太陽を見ると、ダイナミックな太陽活動が見えてきます。 図2は人工衛星が宇宙から観測した4波長の太陽画像です。(a)は白色光で見た太陽光球で、黒点が見えます。 (b)は可視光の偏光分光観測により、黒点の磁場を観測しています。 (c)は極端紫外線(304Å)で見た太陽で、5万度の遷移層を観測しています。暗い筋状のフィラメントも見えています。 (d)は極端紫外線(193Å)で見た太陽コロナで、黒点上空や太陽フレアが明るく光って見えます。
- *1 SDO = Solar Dynamics Observatory
- *2 AIA = Atmospheric Imaging Assembly
- *3 HMI = Helioseismic and Magnetic Imager