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2024年3月23日に太陽面中心付近でX1.1フレアが発生
2024年3月23日に太陽面中心付近においてXクラスフレアが発生しました。このXクラスフレアにともない日本各地でデリンジャー現象が発生しました。また、高速のコロナ質量放出(CME)の噴出や高エネルギープロトンが観測されました。気象庁柿岡地磁気観測所によると、3月24日に急始型地磁気嵐が発生しました。
太陽面中心付近の活動領域の活動領域13614、13615において、1時33分UTにX1.1クラスのLDEフレア(継続時間の長いフレア)が発生しました。このフレアの発生にともない、同日1時15分〜3時15分UT(日本時間10時15分〜12時15分)には日本各地でデリンジャー現象(短波減衰)が発生しました。GOES衛星の観測によると、静止軌道の10MeV以上のプロトン粒子フラックスは3月23日3時55分UT頃から上昇を始め、23日8時15分UTに10PFUを超えてプロトン現象が発生しました。プロトン粒子フラックスは23日18時20分UTに最大956PFUに達し、その後25日15時15分UTに10PFUを下回り、このプロトン現象は終了しました。
SOHO探査機の観測によると、この太陽フレアにともない、23日1時UT頃に秒速1900kmのハロー型のCME(コロナ質量放出)が発生しました。DSCOVR衛星の太陽風観測によると、このCMEによる衝撃波が24日14時UT頃に到来しました。太陽風速度は秒速約550kmから秒速約850km、磁場強度は約5nTから約34nTまで上昇し、磁場の南北成分は一時-27nT前後の非常に強い南向きの状態となりました。気象庁地磁気観測所(柿岡)によると、24日14時36分UTに急始型地磁気嵐が発生しました。この地磁気嵐に伴う地磁気水平成分の最大変化量は173nTで、26日0時UT頃に終了しました。また、稚内(北海道)におけるイオノゾンデ観測によると、24日17時~25日2時UTにIN2(※)の電離圏負相嵐を観測しました。これらの電離圏嵐は、24日の地磁気嵐の影響を受けたものと考えられます。

(2) SOHO衛星による3月23日2時00分UTの太陽コロナ観測画像。
(3) GOES衛星による3月20日〜26日UTのX線フラックスの観測値。
(4) GOES衛星による3月20日〜26日UTの高エネルギープロトン粒子フラックスの観測値。
(5) DSCOVR衛星による3月20日〜26日UTの太陽風磁場(上段)と太陽風速度(中段)、および気象庁地磁気観測所のK指数(柿岡、下段)。K指数は地磁気変動の活動程度をあらわす指数の1つ。