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2024年5月の大規模宇宙天気現象まとめ
2024年5月は、合計20回の大規模(Xクラス)太陽フレアが発生しました。特に、活動領域13664では、今太陽活動サイクルで最大強度のX8.7を含む13回もの大規模太陽フレアが発生しました。これらの太陽フレアに伴って放出されたコロナガス(コロナ質量放出;CME)により、19年ぶりの大規模な地磁気嵐も発生しました。また、日本各地でデリンジャー現象や電離圏嵐、低緯度オーロラが観測されました。
活動領域13663について
2024年5月3日2時22分UT(日本時間5月3日11時22分、以下JSTと表記)に、太陽面北半球中央子午線付近の活動領域13663(下図(1))において、X1.6クラスの太陽フレアが発生しました。 この太陽フレアの発生に伴い日本各地で5月3日2時30分UT(3日11時30分~11時45分JST)にデリンジャー現象(短波減衰)が観測されました。また、この太陽フレアに伴い太陽電波バーストが観測されています。SOHO探査機の観測によると、同日の2時UT頃に秒速約850kmのCMEの発生が確認されましたが、北東方向への放出であったため、このCMEによる地磁気および電離圏への大きな影響はありませんでした。
その後、同活動領域では、5月5日6時1分UT(15時1分JST) にX1.3クラス、11時54分UT(20時54分JST) にX1.2クラスの太陽フレアが発生しました。さらに5月6日6時35分UT(15時35分JST)にX4.5クラスの太陽フレアが発生しました。これらの太陽フレアの発生に伴い国内で観測されたデリンジャー現象は以下の通りです。
・5月5日6時01分UT(15時01分~15時30分JST):日本各地
・5月6日6時35分UT(15時35分~15時55分JST):日本各地
また、5日に発生したX1.3クラスフレアに伴い太陽電波バーストが観測されました。さらに、5月5日11時54分UT(5月5日20時54分JST)にX1.3クラスの太陽フレアが発生しましたが、日本時間で夜間の発生であったためデリンジャー現象は観測されませんでした。また、5月5日から6日に発生した太陽フレアに伴うCMEは観測されませんでした。
活動領域13664について
活動領域13664(下図(2))では、2024年5月8日から15日にかけて計13回の大規模太陽フレアが発生し、地磁気及び電離圏に大きな影響を及ぼしました。同活動領域は、5月16日に太陽面裏側に回り込みました。これらの現象の詳細については以下をご参照下さい。
なお活動領域13664は、太陽面裏側を回って5月26日に再び太陽表面東端から出現し、活動領域13697と採番されました。この活動領域は、再び複数の大規模フレアを発生させています。この活動領域で発生した大規模太陽フレア及び関連現象については、後日詳細を報告します。
活動領域13685について
2024年5月15日14時38分UT(23時38分JST)には太陽面南半球東端(太陽面裏側)の活動領域13685(下図(3))で、X2.9クラスの太陽フレアが発生しました。SOHO探査機の観測によると、CMEは太陽の東側方向へ放出されたため、地磁気および電離圏への影響はありませんでした。