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2024年7月29日のX1.5クラスフレアと2024年8月5日のX1.7クラスフレアについて

太陽面上の活動領域13764(図1)から、7月29日2時37分UT(日本時間11時37分)にX1.5クラスの太陽フレアが発生しました(図4)。この太陽フレアにより日本時間7月29日11時45分に日本各地でデリンジャー現象が発生しました(図3)。この太陽フレアに伴う高エネルギー粒子の増大はありませんでした。また、コロナ質量放出(CME)も観測されず、この太陽フレアは地磁気に影響を及ぼすものではありませんでした。

また、8月5日13時40分UT(日本時間22時40分)に太陽西端でX1.7クラスの太陽フレアが発生しました(図5)。この太陽フレアは既に太陽面裏側に回り込んだ活動領域13767(図2)で発生したものと推測されます。GOES衛星の観測によると、この太陽フレアに伴い、5日15時UTごろから静止軌道における10 MeV以上のプロトン粒子フラックスの上昇が見られましたが、プロトン現象の定義である10 PFUを超えませんでした。また、この太陽フレアは日本時間で夜間帯での発生であったため、日本国内でデリンジャー現象は発生しませんでした。

これらのXクラスフレアを起こした活動領域13764および13767はいずれも既に太陽面裏側に回り込んでいるため、今後当該領域の活動が地球に影響する可能性は低いと考えられます。しかし、現在太陽面にある活動領域13780でもXクラスフレアが発生しており、今後も警戒する必要があると考えられます。

(1) SDO衛星/白色光観測による7月29日2時30分UTの太陽表面の黒点の様子。
(2) SDO衛星/白色光観測による8月3日0時15分UTの太陽表面の黒点の様子。丸で示した部分がX1.7フレアを起こした活動領域13767(ただしX1.7フレアは当該領域が太陽面裏側に回り込んでから発生)。
(3) 国分寺で7月29日に観測されたデリンジャー現象の発生直前(左)と発生時(右)のイオノグラム画像。反射エコーが吸収されて弱くなっている。
(4) GOES衛星による7月27日〜8月2日UTのX線フラックスの観測値。図中白矢印が活動領域13764で発生したXクラスの太陽フレアを示す。
(5) GOES衛星による7月31日〜8月6日UTのX線フラックスの観測値。図中白矢印が活動領域13767で発生したXクラスフレア、黒矢印は活動領域13780で発生したXクラスフレア(次の記事で扱います)。