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2025年5月14日に2回のXクラスフレアが発生

2025年5月13日15時38分UT(日本時間14日0時38分)に太陽面西端の活動領域14086(図1)でX1.2クラスフレアが発生しました(図3)。GOES衛星の観測によると、この太陽フレアに伴い、13日16時UTごろから静止軌道における10 MeV以上のプロトン粒子フラックスの上昇が見られましたが、プロトン現象の定義である10 PFUを超えませんでした(図4)。また、この太陽フレアは日本時間で夜間帯での発生であったため、日本国内でデリンジャー現象(短波減衰)は発生しませんでした。探査機SOHOによると、この太陽フレアにともないコロナ質量放出(CME)が発生しましたが(図2)、地球方向への放出ではなかったため、地磁気および電離圏への影響は確認されませんでした。

また、5月14日8時23分UT(日本時間17時23分)に太陽面東端の活動領域14087(図5)でX2.6クラスフレアが発生しました(図2)。この太陽フレアに伴い、14日17時30分に日本各地でデリンジャー現象が観測されました。探査機SOHOによると、この太陽フレアにともないCMEが発生しましたが(図6)、地球方向への放出ではなかったため、地磁気および電離圏への影響は確認されませんでした。

X1.2クラスフレアを起こした活動領域14086は既に太陽面裏側に回り込んでいるため、今後当該領域の活動が地球に影響する可能性は低いと考えられます。しかし、X2.6クラスフレアを起こした活動領域14087は現在太陽面上にあり、引き続き警戒が必要であると考えられます。

(1) SDO衛星/白色光観測による5月13日15時30分UTの太陽表面の黒点の様子
(2) 探査機SOHOによる5月13日17時48分UTごろの太陽コロナ観測画像

(3)静止軌道衛星GOES(米国NOAA)により観測された5月9日〜15日UTの太陽X線フラックスの観測値
(4)静止軌道衛星GOES(米国NOAA)により観測された5月9日〜15日UTの高エネルギープロトン粒子フラックスの観測値

(5) SDO衛星/白色光観測による5月14日8時0分UTの太陽表面の黒点の様子
(6) 探査機SOHOによる5月14日10時12分UTごろの太陽コロナ観測画像