トピックス詳細

2024年10月1日~9日にかけてXクラスフレアが6回発生

概要

2024年10月1日~9日にかけて、活動領域13842および13844(図 1)および活動領域13848(別トピックにて詳説、https://swc.nict.go.jp/report/topics/202410091600.html)にて6回のXクラスフレアを含む太陽フレアが発生しました(図 2)。当該期間に発生した太陽フレアの最大規模は、10月3日12時18分UT(日本時間3日21時18分)に発生したX9.0クラスでした。これは第25太陽活動周期において現在(2024年10月)までで最大です。これらの太陽フレアに伴い、日本各地でデリンジャー現象が発生しました。また、高速のコロナ質量放出(CME)が地球周辺に到来した影響により、10月6日および10月11日に急始型地磁気嵐が発生しました。

図1:SDO衛星/可視光観測による10月3日12時15分UTの太陽表面の黒点の様子
図2:GOES衛星による10月1日~10月9日UTの太陽X線フラックスの観測値

詳細

10月1日22時20分UT(日本時間2日7時20分)に太陽面上の活動領域13842でX7.1クラスの太陽フレアが発生しました(図 3)。この太陽フレアの影響で、日本時間10月2日7時15分から7時30分にかけて日本各地でデリンジャー現象が発生しました。探査機SOHOの観測によると、この太陽フレアに伴い、1日22時UT頃(日本時間2日7時頃)にハロー型のCMEが発生しました。

当該活動領域13842では、10月3日12時18分UT(日本時間3日21時18分)にX9.0クラスの太陽フレアが発生しました(図 4)。この太陽フレアは日本時間で夜間の発生だったため、国内でデリンジャー現象は観測されませんでした。探査機SOHOの観測によると、この太陽フレアに伴い、3日13時UT頃(日本時間3日22時頃)にハロー型のCMEが発生しました(図 5)。地球近傍に位置する探査機DSCOVRによると、6日7時UT頃(日本時間6日16時頃)に衝撃波が観測され、CMEが地球周辺に到来したことが確認されました(図 6)。その後、太陽風速度は550 km/s 前後、太陽風磁場強度は4 nTから18 nTの間で推移しました。太陽風磁場の南北成分は時折 -16 nT前後の非常に強い南向きの状態となりました。気象庁地磁気観測所(柿岡)によると、10月6日7時39分UT(日本時間16時39分)に急始型地磁気嵐が発生しました。この地磁気嵐に伴う地磁気水平成分の最大変化量は192 nTでした。

図3:SDO衛星/極端紫外線観測による10月1日22時20分UTに発生したX7.1クラスの太陽フレアの様子
図4:SDO衛星/極端紫外線観測による10月3日12時18分UTに発生したX9.0クラスの太陽フレアの様子
図5:探査機SOHOによる10月3日14時UTごろの太陽コロナ観測画像
図6:探査機DSCOVRによる10月4日〜10日UTの太陽風磁場(上段)と太陽風速度(中段)の観測値、および気象庁地磁気観測所(柿岡)のK指数(下段)。K指数は地磁気変動の活動度をあらわす指数の1つ。

また、10月7日19時13分UT(日本時間8日4時13分)には、太陽面西端に移動した活動領域13842でX2.1クラスの太陽フレアが発生しました(図 7)。続いて、10月7日21時02分UT(日本時間8日6時02分)に太陽面西端の活動領域13844でX1.0クラスの太陽フレアが発生しました(図 8)が、いずれも日本時間で夜間から明け方の発生だったため、国内でデリンジャー現象は観測されませんでした。また、X2.1クラスの太陽フレアに伴い、7日20時UT頃(日本時間8日5時頃)にハロー型CMEが探査機SOHOにより観測されました(図 9)が、太陽の西側方向へ放出されたため地球に到来せず、地磁気および電離圏への大きな影響はありませんでした。

図7:SDO衛星/極端紫外線観測による10月7日19時13分UTに発生したX2.1クラスの太陽フレアの様子
図8:SDO衛星/極端紫外線観測による10月7日21時02分UTに発生したX1.0クラスの太陽フレアの様子
図9:探査機SOHOによる10月7日21時UTごろの太陽コロナ観測画像

太陽面中央付近の黒点群13848では、10月9日1時56分UT(日本時間9日10時56分)に、X1.8クラスの太陽フレアが発生しました。 この現象に関しては、別トピック(https://swc.nict.go.jp/report/topics/202410091600.html)にて詳説していますのでそちらをご参照ください。

続いて、10月9日15時47分UT(日本時間10日0時47分)に太陽面西端でX1.4クラスの太陽フレアが発生しました(図 10)。日本時間で夜間の発生だったため、国内でデリンジャー現象は観測されませんでした。この太陽フレアに伴い、9日16時UT頃(日本時間10日1時頃)にCMEが発生しました(図 11)が、太陽の西側方向へ放出されたため地球に到来せず、地磁気および電離圏への大きな影響はありませんでした。

図10:GOES衛星/極端紫外線観測による10月9日15時47分UTに発生したX1.4クラスの太陽フレアの様子
図11:探査機SOHOによる10月9日16時UTごろの太陽コロナ観測画像

この期間に国内で観測されたデリンジャー現象は以下の通りです。

発生日時(日本時間)

発生場所

10月2日7時15分~7時45分

日本各地

10月2日14時45分

日本各地

10月3日12時30分~12時45分

大宜味

10月4日14時00分

日本各地

10月8日7時30分~8時00分

国分寺、山川、大宜味

10月9日10時45分~12時00分

日本各地(弱い)

※本文に記載の太陽フレア発生時刻はX線フラックスのピーク時刻を表します。